『伝えることから始めよう』とは、著者であるテレビ通販大手のジャパネットたかたの前社長 高田明氏の著書です。
すでに、「ジャパネットたかた」からは引退して後継者に経営を委ねていますが、その高田氏がこれまでの創業前後から「ジャパネットたかた」を創り上げるまでの歴史を中心に、商品を販売してきたエキスを散りばめて、分かりやすく紹介されています。
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自身もかつて経験があるのですが、商品や製品を販売する時、「この商品は○○の性能を持っていて、こうなんです」と、力を込めて伝えるだけでは物は売れないのです。ましてや売り込みが入ると一層売れません。
ところが、「ジャパネットたかた」の高田明氏は、そうした商品説明や言葉は一切使いません。
できるだけシンプルに、簡単に分かりやすく、商品の売り手の立場に立って伝えるのではなく、商品の使い手の立場に立った上で、「伝えるのですなく、伝わるように話す」ことが大切だと言うのです。
これまで、商品や製品を販売してきて感じることは商品の性能ではなく、商品の良さでもなく(もちろん、前提には商品の良さがあっての上ですが)、その良さだけを全面に打ち出すのではなく、どのように使われていって、どのように、その人にとって良いのかも、使い手に伝わっていくという『伝わり方』がとても大切な要素の一つになっているということなのです。
販売力とは、相手の見方も理解した上で、使い手の中に入り込んで溶け込む力も大事になってきますね。
そうした『伝えることから始めよう』は、これまでなんとなく理解していたつもりでも、もう一度原点に戻って確認したり、また、曖昧だったり、すこしぼやけていたりしていたことが、ここではっきり見えてくるものもあるのではないでしょうか。
この著書は、販売についてもう一度原点に戻って、素直に見つめられる、いい教科書の一つになるのではないかと感じる一冊だったため、紹介したくなった一冊になります。
自戒の念も含めては、言うまでもありませんが。
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そして、実際に読んでみて、参考になることが随所に見られました。これまでなぜ売れなかったのか、売りにくかったことなども、著書を通して感じることができたのです。
世阿弥が能楽論書「花鏡」で記した言葉で、我見(がけん)、離見(りけん)、離見の見(りけんのけん)なども面白い表現で、高田氏が感じている見方もそのとおりで目から鱗的に活用できそうな文言が散りばめられていました。