ブラックホールは、1915年にアインシュタインが一般相対性理論の中で、強い重力があるとその周りで光が曲げられるということが予言されていましたが、そのブラックホールの写真を人類で初めて撮影に成功したのです。
今から100年前、重力が時空の歪みであると示したアインシュタインの理論が正しかったことを証明したことになります。
まさしく、ノーベル賞に値するもので、このブラックホールについて、どうやって撮影したのかも見ていきましょう。
ブラックホールとはどのようなもの?
ブラックホールは文字通り、黒い穴になりますが、その黒い穴であるブラックホールは、周りにあるものは全て、光さえもそのブラックホールに引き込まれ、吸い込まれてしまう巨大な重力とエネルギーを持った黒い穴なのです。
ブラックホールは銀河の中心にあって、100万~100億個分の質量に成長していきます。
過去から天文学者らはブラックホールが存在していると信じて、色々な観察や研究から存在を前提に進められてきましたが、あくまでも想像の域を出ないものでした。ましては撮影はできなく見たこともなく、イメージでの写真だけは存在していました。
影のサイズと形はアインシュタインの理論で予言されていました。
今回は人類で初めてブラックホールの撮影に成功したのですが、ブラックホールの性質とは一体どのようなものなのでしょうか。
ブラックホールの性質、大きさは?どこにある?
物体が極めて小さくて、重いと光も逃げられないほど重力が強くなって、物体は事象の地平線の向こうに隠れてしまいます。
国立天文台によると、アインシュタインの相対性理論以来100年、 ブラックホールを比較的に証明するものになり、活動銀河中心核が発見されてから100年となります。
ターゲットは2天体
・射手座のAスター(天の川銀河の中心の巨大ブラックホール)
・楕円銀河M87の中心の巨大ブラックホール
銀河の真ん中にブラックホールが存在することを決定づける唯一かつ一枚の写真になります。ではどうして、輪のブラックシャドー(黒い影)ができるのかは、ブラックホール周りの光の動きに関係します。
アインシュタインの一般相対性理論にもあるように、ブラックホール周りの時間と空間を歪ませるため光が回り込むため、ブラックホールの周りからは光は出てこないために、ブラックホールの周りに輪ができて真ん中が黒く抜ける現象になります。
この穴がブラックホールと呼ばれる所以です。
このブラックホールの中は真っ黒、光までも吸い込むため、物体が吸い込まれたら二度と元の場所に戻れません。
今回撮影された銀河M87の中心の巨大ブラックホールの重さは太陽の65億倍、地球から5500万光年離れています。
薄い光の衣をまとっているブラックホールの球状の衣を横から見て輪になっているイメージで、国立天文台によると真ん中の穴は凹み、リングと中心の暗部のコントラスト比は10:1以上になります。光が強い、中が真っ黒なのでその差がはっきり見て取れますね。
そのリングの直径は1000億 km、周りのガスは60億度以上という高温のプラズマであることが電波の観測から示しています。
そうしたプラズマを維持されて加熱できるのはブラックホール周辺だけであるということが証明されるというのです。
今回の画像の至るまでの解析には三つの方法があって、従来法、アメリカの手法、日本の手法であるスパースモデリングがあって、最終的にはどの手法でも同じ画像が抽出されるのですね。
ただ、日本は過去からこのブラックホールの主要な研究発表をずっとどこよりも数多く行っていて、共同研究の中でも多大な貢献をしています。
春の時期では南の空を見上げると射手座が見られます。
ブラックホールはどのように発見されたの?
2017年4月からスタートしたプロジェクトで、VLBI(Very Long Baseline Interferometry)世界各地の望遠鏡を組み合わせて地球規模の電波望遠鏡を合成することで撮影が可能になりました。
望遠鏡は直径1万Km、波長1.3mmの観測で、視力は普通、人では1.5とか2.0など、鳥でも6.0など比較的視力がいいわけですが、その人間の視力で言うところの300万、ハッブル宇宙望遠鏡は視力では1500に相当します。ピントこない数字ですね。
2つの天体での影は1億分の1度、つまり月面上のテニスボールの大きさを地球から見た大きさに相当する大きさを、画像解析を通して極めて高い視力で見たわけです。
これは、世界の13機関を中心に、200名あまりの研究者から成る国際共同研究プロジェクトの中で、人類初の撮影となりました。
NASAの発表でも、EHT (EVENT HORIZON TELESCOPE)はブラックホールを撮影する初めての試みだったのです。
天の川の中心にある巨大ブラックホールや楕円銀河M87の中心に巨大ブラックホールがあります。
今回、初めて楕円銀河M87の中心の巨大ブラックホールでの撮影が成功しました。
天の川の中心にある巨大ブラックホールでは、太陽400万子分の質量でしかも、遠いため写真を撮るのは、たとえで言うとロサンゼルスのゴルフボールのくぼみの数をニューヨークから数えるほど困難を極めます。
ブラックホールに吸い込まれるガスが高温になってブラックホールは、アインシュタインの理論で予言されていた影のサイズと形が見えました。
EHTでは、この影を1 mm の波長の光で観測して、波長はガスが最も明るく見え銀河の中心から地上の望遠鏡まで電波が届くのですが
光の波面は、 最初円状に広がり地球に近づくにつれて平行な形になるので、この波長でブラックホールの画像をとるには地球と同じサイズの望遠鏡が必要になったのです。
EHTはチリ、ハワイ、南極、アリゾナ、スペイン、メキシコなど世界にある国々の望遠鏡ネットワークを通して地球サイズの望遠鏡のようにして画像処理して撮影したのです。
その手順は
1.各国にある望遠鏡はブラックホール近くから来る電波を集めて記録。
2.各国の望遠鏡のデータが完全に同調すると全てのデータを合わせて画像作成。
地球規模の一つの大きなパラボラ鏡のような可視光望遠鏡として撮影されました。
記録の安定が必要なので1億年に1秒しかズレない精度原子時計を使います。
3.同時に、観測で記録されるデータは膨大な量のためインターネットで送信できないため、ハードディスクに記録されて、スーパーコンピュータがあるデータ処理施設に転送され、各望遠鏡に電波が届く時間のずれを考慮したデータを再生し結合データを画像化して撮影されます。
各国の望遠鏡の数が増えれば増えるほど、面的に平面の画像は明確になって今回のような鮮明なブラックホールの撮影に成功したのですね。
写真・データ出所:国立天文台、EHT